11日アメリカのカーター国防長官はイラクへ米兵560名を増派すること発表しました。
アメリカはオバマ政権になってから極力国外への軍事介入を抑えてきました。(例えばシリア政府が化学兵器を反政府派に対して使用したと報道された後に、軍事力の行使を匂わせたが最終的にはしなかったように)
ですが、ここにきて米兵のイラクへの増派。これは何を意味するのでしょうか。
イラクから完全に撤退していたのでは?
イラク戦争後、イラクの治安維持活動に従事していた多数のアメリカ兵が死亡した事により、国内世論(もちろんアメリカのもの)は撤退を望んでいました。(イラク戦争そのもので亡くなった米兵より、その後の治安維持活動で亡くなった人数が多いとなれば、国民としては治安維持なんかしなくていいから今すぐ帰って来て欲しいとおもいますよね~)
こうした空気の中でイラク撤退を公約に掲げ当選したオバマ政権は、アメリカ軍は2011年にイラクから完全撤退しました。2008年の当選から3年かけてどうにか撤退したアメリカ軍ですが、オバマ政権は再び派兵を行いました。苦労してイラクから抜け出したのになぜ、アメリカは再びイラクに行かざるを得なかったのでしょうか。
その原因として挙げられるのは2014年に国家樹立を宣言したIS。アメリカとしては必死こいて、イラクに実効支配をできる新政権を立ち上げたのにそれをぶっ壊されてはたまったもんじゃない。(ISは首都バグダッド近郊の主要都市ファルージャが同年に占領しており、危機感は大変なものだったかと)そこでアメリカはコッソリと軍隊を再派遣していたのですね。
米軍、イラクでの秘密の活動
密かにイラクに戻ってきたアメリカ軍。アメリカ軍は国内の世論もありイラクで大規模な作戦行動は出来ません。そこで何をしていたかというと…。
いちに、イラク軍の訓練。
ファルージャが2014年に陥落した際、イラク軍は実際に戦闘を行わずに逃げ出したそうで、こーなると現地のイラク軍にISを倒してもらおうと考えていたアメリカとしては、現地のイラク軍は頼りねえなとなるわけで。そこで使えるようになるまでアメリカはイラク軍を指導せざるを得ないわけで。こうしてアメリカ軍が現地のイラク軍を訓練するために派兵されるようになったんですね~。
次に、空爆の効率化。
国内世論もあり地上部隊を使えないアメリカは、ISを打倒するために基本じぶん達には被害がでない空爆を行っています。ですが、むやみに空爆を実施しても戦果は上がりませんし、一回の空爆で使われるお金も馬鹿にならない。空爆の効果を最大限に生かすことを考えます。
考えられたのが、地上部隊と空爆の共同作戦。ですが、アメリカは地上部隊を派遣できない。ならイラク軍をやっぱり利用する必要がある。空爆を仕掛けた後にイラク軍が行動できるように、連絡を密に取り合う人員を送ったのでした。
このように派遣された兵士は、実際に戦闘を行うのではなく、イラク軍のサポートが主目的だったんですね~。
増派は何を意味するのか
アメリカ軍がイラクに再び送られていたのは対ISの戦略に基づいていたからですね。今回の増派は何を意味するのでしょうか?
今回の増派は、アメリカが対ISの戦闘を一気に進めるぞという意思の表れでしょう。
イラク軍が自力でファルージャを奪還したことは、アメリカによる訓練と空爆の効果があった証明といえますね。米兵の増派はより多くのイラク兵の訓練を可能とし、ISに対抗できる軍隊を今まで以上に早く作り出すことと効率的な空爆をさらに行っていくことで、ISとの決着を短期間につけようと狙っているのでしょう。
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