【戦争と平和】ナショナリズムって何?その歴史と意味を簡単に解説

政治学、国際政治

ニュースや新聞などが政治、国際関係の話題が出る際によくナショナリズムという言葉が使われます。

そのような場面ではナショナリズムは自国第一主義と同一視されることが多く、悪い思想と見なされることは少なくありません。

一方で、あまり語られませんがナショナリズムには重要なメリットや利益を現代社会が生まれてくる際に、国や国民にもたらしてきた事実もあります。

そこで今回は、ナショナリズムについて深堀していこうと思います。

ナショナリズムが生まれた理由

さて様々な議論を生むナショナリズムはそもそもなぜ生まれたのでしょうか?

そこで最初は近代ナショナリズムが生まれた歴史を簡単にたどって行こうと思います。

フランス革命と戦争


ナショナリズムはフランス革命によって生み出されたと言われています。

よく知られているようにフランス革命によってブルボン家によるフランスの統治が終了しました。

ただ、この動きを見てプロイセンやオーストリアといった周辺の王政国家は革命の影響が自国に及ぶことを恐れてフランスに対しての同盟を組んで対抗していくことになります。

ですがこの革命フランスと諸王国との亀裂は戦争という形に落ち着くことになります。

戦争の初め頃はフランスは革命のゴタゴタで戦線では不利な立場に置かれていました。

しかし革命を経てフランスは主権が国民にあるということで、フランス人は自分たちの権利を守るためにも勇敢に戦っていきます。

一方でオーストリアやプロイセンの兵士は絶対王政国家の兵士なので、フランス兵と比べても国家に対しての忠誠は高くありません。

結果としてはこうした兵士の質の違いによってフランスは戦争で勝利することになるのです。

その後、フランスはナポレオンが皇帝に即位しヨーロッパ制覇を目指すことになります。

しかしヨーロッパの他の国々はナポレオンに敗北したからこそ、自国への愛国心に目覚めた集団が生まれていました。

結局、ナポレオンはナショナリズムに目覚めたヨーロッパ諸国によって追放されることになりました。

ここでフランスはフランス人の国家、ドイツはドイツ人の国家であるという認識がフランス革命からナポレオン戦争を通して作られたのです。

このように今まで見てきたことからわかるように、ナショナリズムとは〇〇と行く気には〇〇人の国という国民と国家の同一性、一体性を重要視する国家観と言えますね。

ナショナリズムのメリット


さてナショナリズムは国民と国家間の絆を強調する考え方ということを見てきました。

冒頭で、そしてナショナリズムが生まれた歴史を見たようにナショナリズムは戦争と緊密な関係を持っています。

ですから知識人の中にはナショナリズムは悪だと考える人もいます。

しかしナショナリズムにはそうした人が指摘しないメリットもあります。

そこでここからはナショナリズムのメリットについて見ていこうと思います。

公用語の誕生


ナショナリズムのメリットの一つとして公用語の成立が挙げられます。

先ほどから見てきたようにナショナリズムは〇〇国は〇〇人の国家という考え方です。

そうなればある国に住んでいる国民は同じ民族ということになり、その国の中では同じ言語を使われていることが自然と考えられます。

ですから政府は公用語を制定し、学校教育の中で言語の統一を図ることになるのです。

この公用語があることで国内ならコミュニケーションを取ることで困ることはないというメリットを甘受できるようになるのですね。

例えば日本国内で関東は日本語、東北ではフランス語、北海道ではロシア語、関西ではドイツ語、九州では中国がしゃべられている状況でしたら他の地方に行ったら不便でしょうがありません。

しかし、日本なら全国どこでも日本語で意思疎通を取ることができるので非常に便利です。

このようにナショナリズムによる言語政策は便利さを提供してくれているのですね。

経済的メリット


ナショナリズムは先ほど見たように言語の統一政策が取られます。

そしてこの言語の統一政策は経済的にもメリットがもたらされます。

なぜなら国内で同じ言語が使われていることで機械の操作法や仕事の進め方といったマニュアルをその国で使われている国の言葉で作れば、あとはその国に住んでいる人なら誰でも読んで理解することができます。

こうなれば新人を教育する手間も大幅に何もないよりは大きく省くことができるようになります。

ですから事業の規模を大きくすることが容易になり、経済発展も見込めるようになるのですね。

国と国民の間に連体感が発生する


ナショナリズムの根本であり最大のメリットが国と国民の間に連体感が生じることでしょう。

なぜ国民の間に連体感が生まれることがメリットになるのかというと、国と国民の間で連体感があれば政府としては国民のためになると国民が納得した国家政策の実現を目指す際には国民にある程度の痛みが生まれても国民は協力することになります。

こうした反対が大きそうで難しい政策を実現しようとしても、ある程度は実行することができるようになるのがナショナリズムの最大のメリットと言えるでしょう。

ナショナリズムのリスク


さてここまではナショナリズムのメリットを見てきました。

メリットがあれば当然デメリットもあります。

デメリットとしては妥協ができなくなるという点でしょう。

ナショナリズムが強まれば強まるほど他国や他民族に対して強圧的な態度を選ぶことが珍しいことではなくなったりします。

また二度に渡る世界大戦やその後の民族紛争はナショナリズムの影響を受けていないものはありません。

このように過激なナショナリズムは妥協を拒否する傾向になりがちなので、知識人が指摘するように戦争の原因になることは間違ってはいないのですね。

国内での対立


ある国は〇〇人の国と思われていても、実はその国の中にはそうではないと思う少数派がいるということは珍しいことではありません。

そうなれば、少数派としてはナショナリズムに基づいて自分の国を持とうと主張、行動を開始することが当然にあります。

そうなってしまえば、中央政府としては基本的には分離独立運動は許すことができないので懐柔から弾圧までなんでもするということは不思議なことではありません。

実際、分離独立運動はイギリスでのスコットランド独立運動などをみればどういったものかを理解できると思われます。

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ナショナリズムとグローバル化


ナショナリズムは18〜19世紀に登場し、20世紀で完成したと言えます。

ただ現在では移動手段の発達やSNSの登場でナショナリズムの性格は大きく変わらざるをえないでしょう。

かつてであれば移動手段が限られていたので移民の数やその行き先は限られたものでした。

しかし現代は飛行機の発達で移動は過去と比べて非常に容易になりました。

ですので生まれはアジアや中東でも今は北アメリカで生活している人の数はかつてとは比べられないほど多くなっています。

さてここで問題になるのが今回のテーマのナショナリズムです。

生まれは別の土地だけど、今は別の場所で生活しているとなれば、その人の帰属意識はどうなるのでしょうか。

交通手段が発展する前なら自国に帰属意識を持つことは容易だったかもしれません。

しかし交通手段が発達し、海外に居を移していればその人の帰属意識はどこに向かうのかがわからなくなります。

その人が今住んでいる土地に帰属意識を向ければ、元住んでいた土地の人から反感を買うかもしれません。

また逆の場合も十分に考えられます。

それだけでなく、その土地に住んでいた人の中には新しくきた人間が別の土地に帰属意識を持っていれば反感を持つ人もいるかもしれません。

このように時代が変わっていく中でナショナリズムも変化していくのでしょう。

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