トランプ大統領のエルサレムの首都認定で世界はこうなるかも…

   

年末には魔物が潜む、とどっかの界隈で言われていたりします。

さて今年の政治ではとんでもない魔物が年末になって遂に出てきた感があります。

それはアメリカのドナルド・トランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都として認定するという動きが実現しそうという問題です。

もしアメリカがエルサレムをイスラエルの首都として認定したら戦争が起きると主張する人がいるほど、この問題は厄介なこととして見られています。

さて、そもそも何故このエルサレムが首都として認めることが戦争につながるのでしょうか。

そこで今回はその理由などを深掘りしていこうと思います。

戦争勃発が危惧される理由

中東で戦争が起きると心配する人もいますが、何故そうした心配が出てくるのでしょうか。

その理由としてはパレスチナ問題が根深く関係してきます。

そこでまずはパレスチナ問題を非常に簡単に説明していこうと思います。

中東問題の根っこに関わるパレスチナ問題

もともと今のイスラエルがある土地はオスマン帝国があった時代つまり19世紀あたりまではパレスチナと呼ばれており、住民の大半はアラブ人ムスリムでした。

しかし、第一次世界大戦においてイギリスが三枚舌外交とも呼ばれる政治的、外交的取引を行った結果、パレスチナの地にアシュケナージ系ユダヤ人(アシュケナージとは東欧出身のユダヤ人を指します)が大量に流れ込んでくることになります。

そうなるとパレスチナは、よくわからない奴らがたくさん来たぞということで大混乱になったわけですね。

こうした混乱を受けてイギリスはユダヤ人がパレスチナにやってくることを制限します…。

しかしユダヤ人はこのイギリスの政策に反発してイギリス政府のイスラエルの出先機関にテロ活動を起こします。

また、イギリス本国政府は第二次世界大戦で途方もなく疲弊することになります。

そして第二次世界大戦によって帝国としての威光と覇権を完全に失ったイギリスは、パレスチナ問題の解決をできたばかりの国際連盟に丸投げしたのでした。

こうして厄介なパレスチナ問題を丸投げされた国際連盟は、解決案としてアラブ人とユダヤ人の二国家分割案を提案します。

しかし、アラブ側はこれを拒否して第一次中東戦争が勃発することになるのですね。

自分たちのものであった土地の半分を明け渡せと言われたら、反発する人が出てくるのは当然といえば当然に思えてしまいますよね。

中東戦争とパレスチナ人難民


この第一次中東戦争の結果、イスラエルは国連が提案してきた国土を確保することになります。

また、それだけでなくアラブ人の国土とされた土地も戦争のどさくさに紛れて確保しました。

そのため、大量のパレスチナ人難民が発生することになるのです。

(このパレスチナ人難民の登場を受けて国連は「国連パレスチナ難民救済事業機関(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East: UNRWA)」というパレスチナ難民救済のための独自機関を設立したりします。このことからパレスチナ難民が受難がどれ程のものだったかがわかりますよね。)

その後も中東戦争が何度か起き、イスラエルはパレスチナ側の土地を切り取りってきました。

そのためパレスチナ難民も中東戦争(特に第三次中東戦争で)増えることとなります。

こうしたパレスチナ人が置かれている受難に対してアラブ諸国は同じ民族、ムスリムということで同情を感じるわけで…。

ですからアラブ諸国は中東戦争においてパレスチナ解放を掲げて戦ったり、支援活動を行ってきたりしたのです。

東エルサレムの意義


さてパレスチナ問題について見てきましたが、当初の問題であるエルサレムがイスラエルの首都として認められることに戻りましょう。

エルサレムの現状としてイスラエルが都市全体を支配しています。

しかし、このエルサレムの中でも東エルサレムとされる地区は第三次中東戦争が起きるまでは、国連が認めたアラブ側の領土でした。

ですが第三次中東戦争で大勝利を収めたイスラエルは、この東エルサレムを実質的に併合してしまうのですね!

そしてこの戦争以降、他のアラブ諸国はこの戦争で失った土地を回復するためにイスラエルとの和平交渉を陰に陽に行っていくようになるのですね。

さて、こうしたわけでパレスチナ人はもはや独力で解放を成功させるほかなくなったのですね。

ですのでパレスチナ人はインティファーダ運動を行ったり時にはテロに走ってイスラエルの支配に対抗していくこととなるのでした。

こうしたパレスチナ人の抵抗を受けてイスラエル政府も自国の市民を守る為にその対処をしなくてはいけません。

ですがインティファーダ運動にかかる治安維持コストや、強引なパレスチナへの政策に対する国外から疑問視する声を受けてイスラエルはパレスチナとの和平に舵を切ることにてなるのですね。

そして1993年になってようやく和平の為のオスロ合意が結ばれすのです。

ただ、このオスロ合意の締結時にパレスチナ側は東エルサレムを自分たちの首都にしたいと考えていました。

また他にも解決が難しい問題はまず棚上げすることで、イスラエルとパレスチナの間で和平の合意が達成されたわけです。

しかし、その後の9.11テロが発生すると次第にイスラエル側はパレスチナに対して分離壁を築くなどして厳しい態度をとるようになります。(まるでトランプ大統領がメキシコとの国境に壁を築いみたいですよね〜)

またパレスチナ側も武力闘争を捨てて和平交渉を成立させたのに、この仕打ちかということで和平とイスラエルに対して失望する人が出てきてもおかしい話ではありませんよね。

そして、今回のトランプ大統領によるエルサレムをイスラエルの首都として認めるという行為はイスラエルにとってはネタニヤフ首相が感謝の意をアメリカに示すほど嬉しいものに違いはありません。

しかし、逆にパレスチナ人にとっては自分たちの国土、首都ががなすすべもなく他人の手に渡ったようのものでしょう。
(こうなると、パレスチナ人の中でもナショナリズムに燃える人物だけでなくとも失意や絶望に浸ってしまうかもしれませんね…)

そうなるとパレスチナ人の中には首都奪還のため武力蜂起を考え、実行する人が出てきても不思議ではありませんね。

現実に今回の決定を受けて抗議活動が行われているので、ある意味での義憤に駆られてテロ活動を行う人が出てきても不思議ではありません。

ただトランプ大統領はイスラエル側が使う「永久不可分のエルサレム」を首都として認めたのではなく、ただの「エルサレム」を首都として認めると宣言したわけです。

ですから東エルサレムもイスラエルの首都として認めたとはまだ完全には言い切ることができません。

しかし、だからと言ってこの宣言が危機的なものではないと否定することは難しいでしょう。

東エルサレムの宗教的意義

さて多くの報道でも言われている通りエルサレムはユダヤ教のみならず、キリスト教そしてイスラム教の聖地でもあります。

そのためイスラエルの首都として認めることはムスリムの反感を買う可能性が高く、そのためテロが頻発する可能性が少ないとも言われています。

ユダヤ教急進右派の中にはイスラームの聖地である岩のドームを爆破し、第3神殿を再建しようという主張が見られたりします。

これに対してムスリムとして反感を持つ人が出てきても不思議ではありません。

首都認定で世界がどうなるのか…

もし、本当にアメリカが大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転したらどのようなことが起きる可能性があるのでしょうか。

国際法的、平和的な問題


また、最初の方に述べたように東エルサレムはパレスチナ側のものとされていました。

しかし第三次中東戦争の結果として東エルサレムはイスラエルが軍事占領し、エルサレム全体を自国の首都と宣言しています。

こうなってしまうと東エルサレムは明らかに軍事的に併合されたようなものです。

これは軍事による併合を禁ずる国際法に間違いなく引っかかるものです。

もし、エルサレムをイスラエルの首都として認めてしまえば軍事による併合は可能という先例を残してしまうことになります。

これは第二次世界大戦後の秩序を破壊するものですね~。
(仮に本当に移転してエルサレムが首都として国際的に認められたら、戦争を起こして他国を併合しても構わないという論理展開が可能になってしまいますから)

アラブ諸国の混乱

今回のトランプ大統領の決定はアメリカ、パレスチナそしてイスラエル以外にも大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

特にサウジアラビアとヨルダンの影響は破滅的なものになるかもしれません。

サウジアラビアのリスク


その理由としてはサウジアラビアはイスラーム教の中でも特に原理主義的なワッハーブ派を国教としています。

それ以外にもにもサウジアラビアではコーランを憲法の代わりとしており、(日本では考えられませんが)公開処刑が行われていたり、最近まで女性の運転が禁じられているほど宗教的にはガチガチの右派国家といえますね。

ですからサウジアラビア国民の中には、イスラーム教こそ最強!最高!他の宗教はマジありえねーという考えを持っている人は決して少ないとは言えません。

実際、ソ連がアフガニスタンに侵攻を行った際には聖戦士としてアフガニスタンに遠征に行った国民もいたりしたので…。

さらにその後の湾岸戦争の際にはサウジアラビア本国の防衛にアフガン戦争に参加した自分達ではなく、異教徒たる米軍が駐留することは許せんと反政府意識を燃やしたりした人物もいました。

(そして、その後そうした人物はサウジ国内から抜け出し、2001年にアメリカで飛行機を使いテロを起こしたのです。もう誰かわかりましたよね…。)
ですから宗教的にガチガチな右派が多いサウジアラビアでは、イスラームの聖地の一つである(無論ユダヤ教の聖地でもありますが…)エルサレムが異教徒のものになってしまうとは許せん!イスラエルをやっけろ!という主張が出てきてもおかしくはありません。

仮に、こうした主張がサウジアラビア国内を席巻したら大変厄介なことになるのが火を見るよりも明らかでしょう。

サウジは国是としてワッハーブ派を掲げているので、反イスラエル的な世論を無理に押さえつけると国是を否定することになります。

そうなればイスラームの裏切り者サウジ王政打倒を掲げた過激テロ組織が誕生しても不思議ではありません。

また世論に乗って反イスラエルの姿勢を打ち出しても軍事力では軍事大国イスラエル(核保有の疑惑まである)にはかないませんし、経済的にも効果的なオプションはそこまでありません。

こうなると何もできない政府に対して国民の不満が爆発するかもしれませんね。

こうした政府が怒り狂った国民を無理に抑えつけようとしたら、内戦の可能性がありますよね〜。

また内戦などが起こってしまえば過激派が混乱に乗じて支配圏を確立する危険性すらあります。

実際、イラクとシリアをまたにかけて活動していたイスラム国(IS)もシリアの混乱に乗じて勢力を回復し、破滅的な影響力を発揮してきましたし…。

(ただ、現在のサウジアラビアの皇太子はサウジアラビアの右すぎる宗教観に反対しているような態度を取っています。

実際、穏健なイスラームへの回帰や過激派を根絶すると主張しています。

もしかしたら彼はトランプ大統領のエルサレムの首都承認を事前に知っており、これを自身の権力獲得に利用しようとしてるのではないでしょうか。

イランが共通の敵であるから皇太子はイスラエルとの仲が良好だとする主張もあったりします。

仮にそうであればエルサレムを首都とすることを黙認して国内で混乱が起きても秘密裏にイスラエルの軍事力を利用できるかもしれませんし、国内の過激派を排除し主張するような穏健なイスラームへの回帰が可能になるかもしれません。

穏健なイスラームへ移行できればきつい戒律に不満を持っている若年層からの支持を見込めますし…

なので皇太子は自分の対抗勢力になりそうな王子を先月で逮捕したのではないかと考えたりしたりします…。)

ヨルダンのリスク


ヨルダンはパレスチナ、イスラエルに隣接しています。

ですから多数のパレスチナ難民とその子孫が生活しています。

ですから今回のトランプ大統領の宣言を受けてヨルダン国内でイスラエルけしからん!となる危険性が他国より高いのではないでしょうか。

そうなってしまえばヨルダン国内で混乱が起きたりすることが予想できてもおかしくないかな〜なんて思ったりします。

実際、現国王の祖父はイスラエルと秘密外交を行っていたためパレスチナ難民に暗殺されていますし…。

日本は何をすべきか?

さて良いのか悪いのか日本の安倍首相はトランプ大統領とそこそこ良い関係を築いています。

なので日本は中東に混乱が起きないように大使館移転が本当に実行されないように、トランプ大統領が退陣するまでこのパイプを大いに利用し移転中止を求めるキャンペーンを張るなりすればいいのではないでしょうか。

次に出てくるであろうまとも?な大統領でしたらエルサレム移転は多分中止するはずでしょうし…。

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